アドルフに告ぐでめぐる神戸の旅 本文へジャンプ
 

阪神電車の地下駅

「アドルフに告ぐ」の(ワイド版第1巻P196、文庫版第1巻P198)をご覧ください。右下に神戸そごうのアップが描かれているコマがあります。今回はこの神戸そごうの水害の様子を説明している文章に注目したいと思います。
『昨夜からの雨量は四百ミリを超え、各地で山崩れや土砂崩れが発生しています。洪水は加納町から市役所の方へ流れ出し、三ノ宮のガードは水ですれすれになり、阪神電車の地下駅にも流れ込んでいます。』
(手塚治虫『アドルフに告ぐ』文芸春秋社,1985,第一巻,P196)
ここで『阪神電車の地下駅にも流れ込んでいます』とあります。これは現在の阪神三宮駅のことをさしていると思われます。そして阪神三宮駅は神戸そごうに入口の一つがあるので、神戸そごうの絵が描かれているのも納得がいきます。
余談ですが「さんのみや」は「三宮」の表示が一般的ですが、阪神、阪急などは「三宮駅」、JRのみ「三ノ宮駅」と表記しています。よって『三ノ宮のガード』という表記は現在のJRの高架駅を指しているため「三宮」ではなく「三ノ宮」で正しいのです。手塚先生の神戸へのこだわりの一つかと思います。
また、谷崎潤一郎の小説「細雪」にも同じように阪神大水害が描かれていますが、その中で三宮駅についての記述があるので紹介します。
『神戸市内も相当の出水で、阪神電車の地下線に水が流れ込んだために乗客の溺死者が可なりあるらしいこと、これらの風説には憶測や誇張も加味されていたに違いないのであるが』
(谷崎潤一郎『細雪』新潮社,新潮文庫,1955,中巻,P55)
溺死者…。実際にはどうだったのかはわかりませんし憶測や誇張があると言っていますが、三宮駅で水死とは信じられません。
では水害のダメージを受けた三宮駅の様子を確認したいと思います。

阪神大水害当時の三宮駅
三宮駅前の後始末
(阪神地方水害)『三宮駅前の後始末』
確かに流れ込んでいます。かなりひどい状態です。閉じていたであろうシャッターを流れてきたがれきや流木などが押しつぶしている様子がわかります。シャッターの上には「阪神電車乗車口」とあります。

神戸そごう
絵葉書で撮影されている場所は神戸そごうの一階にあたる場所です。この写真の中央にあたる三連になっている入口の左の部分を、右手の地下道入口の上から撮影したと思われます。

現在の三宮駅
神戸そごう一階
絵葉書と同じ場所です。こちらの入口は現在は閉じられていますが、建物自体は当時と全く同じです。
阪神三宮駅の入口
三連の入口の一番右の入口が今も健在です。
神戸そごうの一階
昔の絵葉書ではポスターのようなものが飾られているように見えますが、現在は枠のみです。閉じられた元入口ですが、扉があるので関係者は中に入れるのかもしれません。

また「アドルフに告ぐ」の(ワイド版第4巻P274、文庫版第5巻P160)の右上のコマにも運休となった阪神電車の駅前が描かれています。運転休止の張り紙がなされているシャッターが絵葉書で破損しているシャッターと同じ様に見えますのでそちらもご覧ください。

また「アドルフに告ぐ」の(ワイド版第4巻P168、文庫版第5巻P54)の左下のコマにも恐らくこの神戸そごう1階の阪神電車の出入り口の前で、アドルフ・カウフマンとエリザが出会うシーンが描かれております。こちらも入口のシャッターが閉まっている状態として描かれています。
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